「令和の米騒動」再燃か?小泉農相発言と止まらぬ新米価格高騰

スーパーの棚から米が消えた「令和の米騒動」から一年が経過したが、日本のコメ市場は依然として混迷の渦中にある。高止まりするコメ価格に対し、石破茂首相が任命した小泉進次郎農林水産大臣(44)は解決に向けた陣頭指揮を期待されたものの、その発言と実情には乖離が見られる。国民の食卓に直結するこの問題は、新たな局面を迎えている。

コメ価格高騰が続く中、秋田の米どころで稲穂が変色する水田の様子コメ価格高騰が続く中、秋田の米どころで稲穂が変色する水田の様子

小泉農相の発言と市場価格の現実

8月25日、小泉農林水産大臣は先の九州豪雨で甚大な被害を受けた鹿児島県霧島市を自民党の森山裕幹事長(80)と共に視察した際、「備蓄米を放出する決断をした立場としては、あまりにお米が高い」と発言した。しかし、この発言は、新米が出回り始め市場への供給量が増える時期であるにもかかわらず、コメの価格が2週連続で高値を更新しているという厳しい現実と向き合わなければならない。消費者の間では、この物価高騰が食費を圧迫しているとの声が相次いでいる。

新米の価格は「昨年の1.5倍から2倍」に高騰

同日、農林水産省が発表した最新の調査結果によると、8月11日から17日までの1週間で、全国約1000店舗のスーパーで販売されたコメの平均価格は5キロあたり3804円(税込み)を記録。これは前週比で67円の値上がりとなる。特に、産地と品種が単一の「銘柄米」に限定すると、平均価格は5キロあたり4268円(税込み)で、前週から29円上昇している。

社会部デスクの解説によれば、四国や九州など、田植えの早い一部地域ではすでに早場米の収穫が終わり、新米が小売店の店頭に並び始めているという。しかし、これらの新米の価格が軒並み高騰していることが、全体の平均価格を押し上げる主要因となっている。最高値の例としては、高知県産の「よさ恋美人」が店頭価格で5キロ7800円、一般的なコシヒカリなどの新米でも、鹿児島県産が5キロ4800円と、昨年と比較して1.5倍から2倍近くも価格が上昇している状況だ。

備蓄米放出の効果への疑問

このような市場の状況を鑑みると、冒頭の小泉農相の「お米が高い」という発言は、まるで他人事のように聞こえてしまうのも無理はない。そもそも、小泉氏は今年5月、米価高騰という「令和の米騒動」を沈静化させるべく、政府の備蓄米放出を決断し、その効果を大々的にアピールした経緯がある。しかし、現在の市場価格の高騰は、その備蓄米放出の効果が期待されたほどではなかったことを示唆している。結果として、小泉農相自身が、自身の施策が「無きに等しかった」と認めているかのような矛盾を抱えることになっている。

この食料問題は、単なる市場価格の変動を超え、国民生活と政治への信頼に関わる重大な課題として、引き続き注視が必要である。

参考文献