台湾・総統選討論会 蔡氏、中国への対抗強調 野党候補は批判に終始



29日、台北市内で、総統選のテレビ討論会に臨み握手を交わす蔡英文総統(右)と韓国瑜高雄市長(左)=台湾・公共テレビ提供

 【台北=田中靖人】来月11日に投開票される台湾の総統選で、3候補者によるテレビ討論会が29日、開かれた。再選を目指す与党、民主進歩党の蔡英文総統(63)が中国の圧力に対抗して台湾の「自由と民主主義」を守る姿勢を強調したのに対し、最大野党、中国国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(62)は政権与党への反感をあおる戦術に終始し、政策論争は深まらなかった。

 候補者が直接やりとりする討論会は今回の1回のみで、選管当局が18日から開いた3回の政見発表会を締めくくる場となった。

 蔡氏は中国の習近平国家主席が「一国二制度」による台湾統一に言及した1月の談話に触れ、「台湾の主権が重大な挑戦に直面している」と強調。「主権は短期的な経済的利益と引き換えにできない」と述べ、中国との経済交流の低迷はやむを得ないとの見方を示した。その上で、香港の抗議デモの参加者から届いたとする手紙を紹介し「台湾の人々はどうか中国共産党や親中官僚を信用しないで」との内容を読み上げた。

 1期目の実績について蔡氏は、政見発表会で、経済が回復基調にあることや脱原発を目指すエネルギー政策、福祉から国防まで説明しており、この日は改めて取り上げなかった。

 一方、韓氏は「民進党は詐欺、売国集団」「蔡氏はスタッフの書いた原稿を読んでいるだけ」と批判に徹した。韓氏はこれまでも「民進党は腐敗し汚職まみれだ」と主張し、最高検察庁特捜部の復活を唱えてきた。この日は「民進党はメディアの90%を買収している」とも述べ、質問したメディアの代表者を「レベルが低い」などと攻撃。野党、親民党の宋楚瑜(そう・そゆ)主席(77)が「(メディアを批判する)トランプ米大統領の悪い例をまねすべきではない」とたしなめる場面もあった。



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