【欧州を読む】英でスコットランド独立派が躍進「住民投票の再実施を」





英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票の実施を訴える「スコットランド民族党(SNP)」のスタージョン党首(AP)

 英国が1月末の欧州連合(EU)離脱に突き進む中、EU残留派が多くを占める北部スコットランドでは独立を求める声が高まっている。残留派の地域政党「スコットランド民族党(SNP)」のニコラ・スタージョン党首は、英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票の実施をボリス・ジョンソン首相に要求した。2020年以降、「連合王国」の分裂をめぐり、英国内で議論が紛糾しそうだ。スコットランドが独立する可能性は果たしてどれほどあるのか。(ロンドン 板東和正)

■強気な姿勢

 「スコットランドを連合王国に閉じ込めてはならない」

 EU離脱問題が主要争点となった英総選挙から間もない12月15日。スタージョン氏が英メディアを通して、強い口調でジョンソン氏に向けて訴えた。

 早期離脱を公約に掲げたジョンソン氏の与党・保守党が総選挙で圧勝したことで、離脱期限である来年1月末の離脱はほぼ確実になった。その結果を受けて、スタージョン氏は英政府に、英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票を行う権限を与えるよう要求し続けている。住民投票の実施には、英議会の許可が必要なためだ。

 スコットランドでは2014年に英国からの独立の是非を問う住民投票が実施され、独立は否決された。ジョンソン政権は「1度目の住民投票の結果を尊重すべき」だと断言し、住民投票の再実施を容認しない姿勢を見せている。

 これに対してSNP側は、EUからの離脱の是非を問うた16年の国民投票でスコットランド住民の62%が残留を支持した結果をあげ、独立してEUにとどまりたいと考える住民が前回の住民投票時点よりも増えている可能性について指摘。住民投票の再実施の必要性を主張して譲らない。

 総選挙後に際立っているのは、スタージョン氏の強気な発言の数々だ。総選挙翌日の13日に行われたジョンソン氏との電話会談では「もしノーと言うだけで(住民投票の再実施問題を)終わらせられると考えているなら、完全に誤っている」と明言。19日に発表した声明文では「私たちにはスコットランドの未来を決める権利がある」と英政府に伝えた。

■保守党の「誤算」

 スタージョン氏が強気な姿勢を強調するのは、住民投票の再実施についてスコットランド住民の信任を得たと確信しているからだ。 総選挙で住民投票の再実施を公約に掲げたSNPは、議席を改選前の35から48に伸ばし、スコットランドの議席の8割強を獲得。一方、保守党はスコットランドでの議席数を7減らした。

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