楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、記者団の取材に応じ、自社の通信網を活用した携帯電話事業について、「従前から申し上げているように、4月からサービスインする」と、本格的なサービスの開始に向けた手応えを示した。
事業開始に向けた準備については「順調に進んでいる」とした上で、「公的なサービスなので万全には万全を期し、二重三重四重の手立てを打って、安定的なサービスを提供できるように頑張りたい」との意気込みを語った。
楽天の携帯電話事業をめぐっては、昨年10月に開始予定だった本格的なサービスを基地局整備の遅れなどで今春に延期。昨年10月からは半年間の予定で利用者を約5千人に絞って通話やデータ通信などを無料で提供する限定的なサービスを行っている。
だが、限定サービスでも開始当初から利用者が通信にうまく接続できない問題が起きたほか、12月10日には3時間近く通信障害が発生するなど、問題が相次いだ。総務省から行政指導も受けている。
もっとも、三木谷氏は「昨年は準備としては、今まで誰もやったことのないことをいっぱい実現したので非常に良かった」と語った。楽天は通信網にクラウドを使った「仮想化」と呼ぶ新技術を全面採用。携帯会社として世界初の試みであり、前例がないだけに、通信安定性の検証などに手間がかかっているとの見方もある。
今年は3月頃に携帯大手3社が第5世代(5G)移動通信システムの商用サービスを開始する予定。一方、楽天の5Gサービス開始は6月の予定で、競合より遅れる格好となるが「5Gの商用化は中長期的なものだと思っている。1カ月、2カ月遅れても別に大した話じゃない」と述べた。