カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された衆院議員、秋元司容疑者(48)が、IR参入を目指していた中国企業「500ドットコム」側から講演料名目で支払われた200万円など別の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部が勾留期限の14日にも収賄容疑で再逮捕する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。逮捕容疑の370万円相当分と合わせ、賄賂の総額は1千万円前後に膨らむ見通し。
秋元容疑者はIR担当の内閣府副大臣だった平成29年9月、IR事業で便宜を受けたいとの趣旨だと知りながら「500」社元顧問、紺野昌彦容疑者(48)=贈賄容疑で逮捕=らから現金300万円を受領。30年2月には妻子と北海道旅行への招待を受け、旅費など約70万円相当の利益供与を受けた疑いで昨年12月25日に逮捕された。容疑を全面否認している。
秋元容疑者は29年8月、「500」社が那覇市で開催したIRに関するシンポジウムで基調講演。同社はシンポジウム後の懇親会で秋元容疑者がIR担当の内閣府副大臣に内定したとの情報を把握し、当初50万円だった講演料を200万円に増額して支払った。
また秋元容疑者は同年12月、同社側が用意したプライベートジェットで中国広東省深●(=土へんに川)(しんせん)にある本社を訪問し、マカオのカジノ施設なども視察。同社側は渡航費や宿泊費など数百万円相当を負担したとされる。
関係者によると、特捜部は講演料200万円全額について、同社側がIR事業で便宜を受けたいとの趣旨で提供した賄賂に当たるとみているほか、中国やマカオ視察の旅費についても同趣旨での利益供与との見方を強めているという。
中国訪問には白須賀貴樹衆院議員(44)や勝沼栄明前衆院議員(45)も同行。特捜部は既に2人の地元事務所を家宅捜索したほか、両氏から任意で事情聴取した。
秋元容疑者は逮捕前、産経新聞の取材に「講演料はもらっていない。中国訪問は経済視察で旅費は支払った」と話していた。