時差出勤に協力した会社員らに対し、東京都独自のポイント「東京ユアコイン」(オフィス型)を付与する事業の実証実験が9日、千代田区大手町などで始まった。出勤ピーク時間外に出社すると、スマートフォンの専用アプリを通じてポイントが付与され、コンビニエンスストアなどでの支払いに利用できるシステムだ。実証実験は2月28日まで行われ、効果を検証したうえで本格導入を目指す。
この日から始まった実証実験は、大手町、丸の内、有楽町地区の会社に勤める社員や来街者を対象に実施され、三菱総合研究所(千代田区)が都から事業を受託した。対象地区内の会社に勤める社員が時差出勤した際、自らのスマホで社内に設置された2次元コード(QR)を読み取ると、専用アプリに200ポイント(1ポイント1円相当)がもらえる仕組み。対象地区のコンビニなどでレジ袋を使わずマイバッグで買い物をするなど、プラスチックごみの削減に貢献した人もポイントをもらえる。
約2カ月間にわたる実証実験中に発行されるポイントは総額最大2500万円分で、1人当たりの上限ポイントは7500。獲得したポイントは、対象地区内のカフェなど約200店の支払いの際に利用できるほか、コンビニのポイントなどと交換することも可能だ。
9日、実証実験に参加した飲食店「micro FOOD&IDEA MARKET」(同区有楽町)で、リサイクル可能な弁当容器を持ち込み、ポイントを獲得した丸の内地区の会社に勤める女性(31)=都内在住=は「コストパフォーマンスを重視する身としては、買い物にも使えるポイントを得られるのはうれしい。ポイントを得るために、時差ビズやエコ活動に取り組む動きが広がると思う」などと話した。
この事業はビッグデータやAI(人工知能)などを活用した新しい社会「ソサエティー5・0」の一環。都では社会活動へのポイント付与により、国連などが推進する「持続可能な開発目標」の達成を目指すと同時に、キャッシュレスの推進を図りたい考えだ。