安倍晋三首相は11日午前、サウジアラビアなど中東3カ国の訪問に先立ち、地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて「日本ならではの平和外交を粘り強く展開していく考えだ」と述べた。海上自衛隊の中東派遣については「日本関係船舶の航行の安全を確保することは極めて重要だ。そのためには情報収集能力を強化する必要がある」と強調した。羽田空港で記者団に語った。
首相の発言全文は次の通り。
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「中東地域の緊張の高まりを深く憂慮しています。他方で足元では関係国の自制的な対応がみられ、日本はそれを評価しています。こうした動きを地域の緊張の緩和、情勢の安定化につなげていくためには、さらなる外交努力が必要となります。今回訪問するサウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーンは、いずれも地域に対して大きな影響力を持つ国々であります。これまでの友好関係の上に話し合いによる対話、そして、自制的な対応を促し、日本ならではの平和外交を粘り強く展開していく考えであります」
「こうした外交努力と合わせて日本はエネルギー資源の多くをこの地域に依存しています。日本関係船舶の航行の安全を確保することは極めて重要であります。そのためには情報収集能力を強化する必要があります。その観点から、自衛隊を派遣することといたしました。先般ロウハニ大統領が来日した際には、こうした考え方を説明し、この考え方に対して理解を得たところであります。今回の中東訪問におきましても、関係国の理解を得て、派遣に対して万全の準備を進めていきたいと思います」