【ソウル=名村隆寛】2018年6月に行われた韓国南東部・蔚山(ウルサン)市長選に大統領府が介入した疑惑で、ソウル中央地検は10日、大統領府の自治発展秘書官室を捜索した。
同市長選では、当時の市長で保守系の金起●(=火へんに玄)(キム・ギヒョン)氏と、左派で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に近い与党系の宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏が戦い、宋氏が当選した。落選した金氏は側近らが業者との不正疑惑で選挙3カ月前に警察の捜索を受け、選挙1カ月前に送検された。側近らは昨年3月、「嫌疑なし」と判断された。
宋氏が12年の国会議員選挙に出馬した際の後援会長はチョ・グク前法相だった。聯合ニュースによると、検察は秘書官らが宋氏を当選させるために公約の作成を助けたとみている。大統領府は任意で資料を渡したが、「見せしめ捜査だ」と反発している。
秋美愛(チュ・ミエ)法相は8日に最高検察庁の幹部ら32人の交代人事を発表しており、この中には蔚山市長選介入疑惑の捜査を指揮していた幹部もおり、地方への異動が決まっている。検察改革を進める文在寅政権の妨害との見方が支配的である中、検察は圧力に屈せず捜査の手を緩めない構えのようだ。しかし、今回、大統領府を捜索したソウル中央地検のトップには文大統領に近い人物が就任する。