香港で「7月に日本で大地震が起きる」とのうわさが尾を引いている。社会に浸透する風水信仰も影響し、日本への旅行を控える動きが拡大。旅行業者からは渡航自粛の長期化を懸念する声も上がり始めた。報道統制で信頼性の高いメディアが弱体化し、SNSの影響力が増大。真偽不明の情報が拡散しやすくなっていることも背景にありそうだ。
「今年日本に行くのはやめておこう、と考える人がいる。年初の水準に回復するには時間がかかるだろう」。香港の旅行会社で日本を担当する袁振寧氏が語る。袁氏によると、6~8月の訪日客は例年の2割程度まで減る見通しだ。
香港の航空会社は相次いで日本行きの便を運休や減便させている。香港と米子、徳島をそれぞれ結ぶ国際定期便が9月から全便運休となったほか、鹿児島、熊本行きの7、8月の全便が欠航となった。
うわさの発端とされるのが漫画「私が見た未来完全版」だ。その内容を基に「7月5日に大災害がある」と香港のSNSで広がり、便乗するかのように風水師たちが日本での災害を予言して拡散に拍車がかかった。