日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡した事件をめぐり、共産党の志位和夫委員長が発言の撤回に追い込まれた。記者会見で保釈を「甘い対応」と突き放したことに対し、多くの批判にさらされたためだ。質疑応答を報じた党機関紙「しんぶん赤旗」も記事の削除を余儀なくされ、共産党にとっては踏んだり蹴ったりの数日間となった。
「保釈、甘い対応」
「あれだけの重大犯罪の被告を保釈し、甘い対応をした。こういうことが曖昧なまま許されてしまったら法治国家の体をなさなくなる。検察、法務省、政府の責任はたいへん重い」
志位氏は6日の会見の終盤、ゴーン被告の逃亡に絡み、法務当局の対応をこう糾弾した。筆者は批判の対象に保釈を許した裁判所が含まれなかったことが気になり、直後に志位氏に「裁判所の責任は?」と尋ねた。
共産党は保釈制度を「是」とする立場だ。「さすがに裁判所の責任には言及しないだろう」という予想に反し、志位氏は「裁判所の判断の問題も問われてくるだろう」と即答した。会見終了後、他の記者も「意外な答えだった」と驚きを隠せない様子だった。
志位氏の一連の厳しい姿勢について、ある共産党関係者は「保釈を是とする立場に揺らぎはないが、(ゴーン被告が)プライベートジェット機まで使って逃げたのはさすがに悪質だ」と語った。