【ワシントン=黒瀬悦成】ポンペオ米国務長官は13日、西部カリフォルニア州シリコンバレーでのIT実業家の会合で講演し、中国共産党体制が「人民解放軍の軍事的優勢の確立」を目的に米企業の知的財産を頻繁に窃取していると警告した。トランプ政権は13日、米中が「第1段階」の貿易合意に15日に署名するのに合わせて中国の「為替操作国」指定を解除したが、ポンペオ氏の発言は、米政権が米中間の懸案である「知的財産の保護」に関する問題では譲歩しない姿勢を明確に示したものだ。
ポンペオ氏は、連邦捜査局(FBI)が現在、約1000件もの知的財産窃取の事件を捜査しており、その大半が「何らかの形で中国に関連している」と述べた。
同氏はまた、中国共産党体制が習近平国家主席の下で「軍民融合」と称して「中国の民間企業と研究者に対し、中国軍部への技術提供を義務づけている」と指摘した。
その上で「人民解放軍の核心的任務は、権威主義的かつ抑圧的傾向を強める共産党による支配の護持だ」とし、「中国共産党に技術利用を『平和目的に限定する』と保証されても信用できない」と強調した。
さらに「多くの米先端企業が中国政府や政府系企業とパートナーシップを組んでいることは大きな問題だ。自由と国の安全を守るのは政府だけの仕事ではない」とし、米企業が中国の軍事力や抑圧体制の強化に加担するような商取引を行わないよう訴えた。