2万人を超える日本兵が亡くなった先の大戦末期の激戦地、硫黄島(東京都小笠原村)で16日、都主催の戦没者追悼式が開かれ、参列した遺族54人と都幹部らが平和への誓いを新たにした。
戦後75年を迎え、戦死者の子供世代も70代が中心に。都は今年から、現地に入る手段を自衛隊機から民間機に変更した。
式典では島で父を亡くした稲城市の岩井堅太郎さん(75)が遺族を代表し「平和の大切さを伝える使命がある」と語った。生後1カ月の時に父が出征。母のシンさんは再婚せずに戦後の混乱期を乗り越え、硫黄島に通った。平成30年に100歳で亡くなった母の思いを引き継ぐため、初めて長男の一芳(かずよし)さん(45)を連れてきた。
一芳さんは式典後、蒸し暑い地下壕(ごう)や集団埋葬地を巡拝。「今までで最も祖父を身近に感じた。祖父の苦しみがあって今の平和がある。高校生の娘にも見せたい」と感慨深げだった。