【シンガポール=森浩】ミャンマーを訪問中の中国の習近平国家主席は18日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相ら政府首脳と会談した。会談後の共同声明で、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた協力体制の強化を宣言。イスラム教徒少数民族ロヒンギャをめぐる問題では、中国がミャンマー政府を支持する姿勢を改めて示すなど親密な関係をアピールした。
習氏はスー・チー氏との会談で、自身の訪問で「2国間関係の新たな時代を開いた」と強調。「最優先事項」として、中国雲南省とミャンマー西部を鉄道や高速道路でつなぐ「中国・ミャンマー経済回廊」の重要性を訴えた。
ミャンマーのメディアによると、スー・チー氏は「国民の利益にかなう」として一帯一路への賛同を表明。ロヒンギャ問題での支持に謝意を示したという。
習氏の訪問に合わせて、両国は、最大都市ヤンゴンの開発など33項目で合意。ただ、中国の36億ドル(約4千億円)の融資で建設が始まり、住民の反対で凍結されているミッソンダム(北部カチン州)については盛り込まれなかった。ミャンマー政府が今年末に総選挙を控える中、ダム反対派に配慮した可能性がある。