京アニ事件犠牲のアニメーターが残した絵本、ゆかりの地で読み継がれる

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大村勇貴さんらの絵本製作に協力した深沢準弥さん=静岡県松崎町宮内
大村勇貴さんらの絵本製作に協力した深沢準弥さん=静岡県松崎町宮内

 京都アニメーションの放火殺人事件で犠牲になった大村勇貴さん=当時(23)=は、昨春に入社したばかりの新人アニメーターだった。大村さんが学生時代、何度も訪れた静岡県松崎町には、町を題材にした大村さん作の絵本が残されており、読み聞かせや展示が始まった。「町の魅力が詰まった絵本をありがとう」。事件から半年となる中、大村さんの“遺作”が大切に読み継がれている。

 伊豆半島の南部に位置する松崎町を舞台に、小さな子供の「うーちゃん」が町の観光地などを模したキャラクターたちに導かれ冒険する-。同県菊川市出身の大村さんが、地元の常葉大学造形学部在籍時に作った絵本「うーちゃんのまつざき」のストーリーだ。

 松崎町教育委員会事務局長の深沢準(じゅん)弥(や)さん(52)は事件後、この絵本を町立図書館に展示することを発案した。

 深沢さんは平成29年8月、地域交流事業の一環で訪れた大村さんら常葉大3年の学生たちに町内を案内した人物。最初の印象は「静かに説明を聞く、おとなしい子だった」という。

 そんな印象が変わったのは、4カ月後の同年12月、完成した絵本の発表会だった。主人公のうーちゃんが、町内に残る「なまこ壁」と呼ばれるひし形模様が並ぶ江戸時代の倉庫の壁や、寺の天井に描かれた巨大な竜、毎年棚田に実る金色の稲穂やかかしを模したキャラクターとともに町内を探検。最後は両親と再会し、大団円を迎えるという物語だった。

 「実は描きたいものを強く持っている子だと感心した」と大村さんを回想する深沢さん。「町がこんなにすてきな場所に見えているのかと思うと誇らしい気持ちになった」

 読み聞かせのイベントも大勢の親子が集まり盛況だった。朗読を担当した元教師の石田初恵さん(75)は、聞いていた大村さんに「キャラクターの気持ちになって読んでくれてありがとう」と感謝を告げられたことを覚えている。

 大村さんは大学卒業後の昨年春、京アニに入社。アニメーターとしての第一歩を踏み出した直後、事件は起こった。深沢さんは新聞で大村さんの顔写真と名前を見つけた。「京アニに就職したことは知らなかった。掲載されていなければ気付けなかった」

 事件後の昨年10月、大村さんの遺族と大学側の了承を得て、深沢さんは絵本を町立図書館に展示した。

 「これが遺作になってしまうなんて。生きていればもっと活躍してくれたと思う」と、石田さんは悔やむ。「若い人に町の魅力を伝えるのに活用したい。この作品を多くの人に読んでほしい」と話す。深沢さんは「絵本がつないでくれた縁だと思う。今後も大切に読み継いでいきたい」と誓った。

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