【ワシントン=黒瀬悦成】米海軍は、2023年に建造が始まるジェラルド・R・フォード級原子力空母の4番艦の艦名に、1941年12月の真珠湾攻撃の際の英雄的な行動を理由に黒人初の海軍十字章を受章したドリス・ミラー炊事兵の名前を冠することを決めた。モドリー海軍長官代行が20日にハワイ州の真珠湾で正式発表する。
米空母に黒人兵の名前が付けられるのは初めて。20日は黒人公民権運動家の故キング牧師の事績をたたえる記念日にあたる。
ミラー氏は真珠湾攻撃当時、戦艦ウェストバージニアに炊事兵として乗り組んでいたが、真珠湾攻撃の当日、大破し湾内に着底する同艦から負傷した将兵らを救出したほか、襲来してきた旧日本海軍の航空機を艦の対空機銃で迎え撃った。
このときの功績を認められ海軍十字章を受章したが、43年11月、乗り組んでいた護衛空母が南太平洋のギルバート諸島沖で日本の潜水艦に撃沈された際に戦死した。
米議会調査局によると、「ドリス・ミラー」よりも前に命名された原子力空母14隻のうち、米海軍の伝統的な艦名である「エンタープライズ」と第二次大戦下の米太平洋艦隊司令長官、チェスター・ニミッツ提督にちなんだ「ニミッツ」を除くと、10隻に歴代大統領、2隻に連邦議員の名前が付けられている。