通常国会が20日、召集され、麻生太郎財務相は衆院本会議で財政演説を行った。米中貿易摩擦などを背景とした海外経済の減速などを念頭に「さまざまな不確実性が存在しており、海外発のリスクには留意していく必要がある」との認識を示した上で、昨年12月に決定した事業規模26兆円程度の経済対策に触れ「日本経済の生産性・成長力の強化を通じて民需中心の持続的な経済成長の実現につなげていく」と述べた。
麻生氏は日本経済の現状について、好調な企業業績などを背景に雇用や所得環境が改善していることなどから「内需を中心に緩やかな回復を続けている」と指摘。財政については急速な高齢化などで社会保障給付費が大きく増えている点を強調しつつ、社会保障制度を維持するためにも、令和7年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標を堅持する意向を示した。
また、一般会計総額が過去最高の102兆6580億円となった令和2年度予算案についても言及。昨年10月の消費税増税に伴う増収分を活用し、全世代型の社会保障制度を構築するため、「幼児教育・保育や高等教育の無償化を着実に実施する」とした。また、経済対策として、キャッシュレス決済に伴うポイント還元や、マイナンバーカードを使った消費活性化策を講じるほか、防災・減災のための予算を計上した点を強調した。
税制面でも持続的な経済成長の実現を目指し、企業の内部留保をM&A(企業の合併・買収)などの投資につなげるための税制の創設や、企業の投資や賃金の引き上げを促す税制上の措置を講じた点を説明。経済再生と財政健全化の両立に向け、予算と関連法案の早期成立を呼び掛けた。