西村担当相の経済演説要旨





衆院本会議で経済に関する演説を行う西村康稔経済再生担当相=20日午後、国会・衆院本会議場(川口良介撮影)

▽経済の現状と当面の経済財政運営

 国内総生産(GDP)は名目・実質ともに過去最大規模に達し、就業者数は大きく増加。昨年10月に消費税率を引き上げた。軽減税率制度などによって、増税前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、現時点では前回増税時ほどではないとみている。しかし米中貿易摩擦や中国経済の先行き、中東情勢など海外発の経済の下方リスクに十分注意が必要である。切れ目ない、万全なマクロ経済運営を進めていく。

▽未来への投資と、中長期の経済活力の維持・向上に向けて

 経済対策にはIT・デジタル技術の実装・普及、第5世代(5G)移動通信システムの普及後を見据えた「ポスト5G」の開発など未来への投資促進策を重点的に盛り込んだ。国家戦略として「デジタル・ニューディール」を展開し、産業や国民生活のスマート化を推進する。生徒一人一人がIT端末を持ち、新たな時代の技術を使いこなす支援なども進める。

 今国会では乗り合いバスや地方銀行への独禁法の適用除外を実施するなどの法案を提出する。

 経済を成長軌道に乗せるためには、生産性向上と、中小企業も含め広く賃上げの流れが続くことが必要。取り組みへの支援をさらに加速する。

 人口減少に直面するわが国が、今後も成長を続けるには海外の活力を積極的に取り込むことが不可欠。日米貿易協定や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などによって、世界経済の6割を占める自由で公正なルールに基づく市場が誕生した。中小企業や農林漁業者にとっても大きなチャンスである。

▽国民生活の安心の確保に向けて

 「全世代型社会保障」への改革で、少しでも多くの方に「支えられる側」ではなく「支える側」として活躍していただく。現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度の構築に向け議論を深める。年金改革や70歳までの就業機会確保といった項目について、法案の成立に取り組む。

 就職氷河期世代への支援について、経済対策で必要な財源を確保。相談・支援機関の強化や本人に対する支援策の大幅な新設・拡充を図る。

▽新経済・財政再生計画の推進

 財政は引き続き厳しいが改善している。令和7(2025)年度の基礎的財政収支の黒字化を目指し、人工知能(AI)などデジタル技術を活用した行政の効率化や、住民サービスの質の向上を早期に実現し、歳出改革を推進する。

▽結び

 東京五輪・パラリンピックの開催で躍動感あふれる新しい時代の幕開けとなる。予算、税制、規制改革などあらゆる手段を講じて国民や事業者を支援する。



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