【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は21日、欧州連合(EU)との貿易協議で合意できなければ、EUからの輸入車に高関税を課す措置を「真剣に検討する」と述べた。関税の圧力をかけてEUとの協議を加速させる狙いだが、報復関税を辞さないEU側の反発を招く恐れもある。
訪問先のスイス・ダボスで記者団に語った。米政権は15日、中国との「第1段階」合意に署名した。トランプ氏は「EUと合意できる」と強調し、米中の合意後、EUとの協議を優先課題とする意向を示した。
トランプ氏は21日、EUのフォンデアライエン欧州委員長と会談した。新たに就任したEUのホーガン欧州委員(通商担当)が今月訪米するなど、米国とEUの間で貿易協議を仕切り直す動きが出ている。
米政府は2018年夏、EUとの協議開始で合意したが、その後、交渉は停滞していた。トランプ氏は21日、EU側と「よい話し合いができた」と語った。
トランプ米政権は昨年5月、通商拡大法232条を根拠に輸入車を安全保障上の脅威と結論づけたが、最終的な関税発動の判断期限だった昨年11月中旬以降、発動の是非について発表していない。米政府がEUへの自動車関税を発動する場合、新たに貿易関連法の法的根拠を示す必要があるとの指摘もある。