レバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)に対する東京地検特捜部の取り調べ時間をめぐり、ゴーン被告の弁護人を務めていた高野隆弁護士が自身のブログに書いた内容が波紋を呼んでいる。「休憩時間も含む」としながらも「1日平均7時間」と指摘。ゴーン被告が逃亡後に主張した「8時間」に近かったとするものだ。だが検察側は「実際は4時間弱で、意図的なミスリードは明らかだ」と反発する。ゴーン被告が批判する特捜部の取り調べは、本当に不当なものだったのか。
ゴーン被告は今月8日、逃亡先のレバノンで記者会見した際、日本の刑事司法制度を批判する中で「通訳も許されずに8時間にも及ぶ取り調べを受けた」と海外メディアなどに訴えた。
これに対し、東京地検の斎藤隆博次席検事は翌9日の定例記者会見で、「取り調べは1日平均4時間弱であり、英語の通訳も同席した。虚偽の事実だ」と即座に反論。両者の主張は食い違っている。
そんな中、高野氏は11日、ブログに「取調べ時間(まとめ)」と題した文章を掲載した。ゴーン被告が平成30年11月19日以降に受けた取り調べについて、1日ごとに開始時間と終了時間を書き、「休憩時間も含む」としながらも、その間の時間を「取調べ時間」として計70日間を表示。「弁護人の立ち会いもなしに平均7時間の取調べを受けていた」と記した。根拠は、30年11月19日から31年1月11日までは検察側から開示された「取り調べ状況報告書」、同年4月はゴーン被告のメモによるという。
文章では4月の17日間の取り調べについて、1日平均約7時間となる計124時間30分と記載したが、これに対し、ある検察幹部は「取り調べ状況報告書では、調べを行っていない食事や風呂、弁護人との面会などの時間は抜いてあるのに、そうした時間も含めるから『平均約7時間』となるのではないか」と反論。