昨年1月、千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅浴室で虐待死した事件で、市は23日、有識者らによる検証報告書を公表した。児童相談所との連携不足や危機感の欠如から適切な対応ができていなかったと厳しく指摘。「心愛ちゃんの命を奪ったのは、公的機関に所属する大人への不信感だった」とした。事件は24日で1年となる。
報告書では、市教育委員会が平成30年1月、心愛さんが父親からの虐待を訴えた小学校でのアンケートの写しを父親の勇一郎被告(42)=傷害致死罪などで起訴=に渡したことを市児童家庭課や県柏児童相談所に報告していなかったことなどについて「その場しのぎ」の対応と非難した。
また、主に心愛さんが野田市に転居してきてからの状況を時系列でたどり、「そもそも一時保護を解除すべきではなかった」「夏休み明けに登校してこなかった時点で、理由を確認しなかった」「亡くなる直前に父親が欠席の延長を申し出たときに、危機感を共有しなかった」など、少なくとも13回、児童相談所や野田市などが介入しなければならない状況があったとした。
さらに、「市の福祉、学校、児童相談所職員の誰であれ、頼れる大人が1人でもいたら救えたはず」として、各行政機関の職員の姿勢や対応を「子供への裏切り」「乱暴」と強く批判した。