【ワシントン=黒瀬悦成】11月の米大統領選に向けた民主党候補指名争いの最有力候補の一人であるバイデン前副大統領は23日、外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」(電子版)に自身が大統領に就任した場合の包括的な外交・安全保障政策を発表した。
バイデン氏はトランプ大統領が就任して以降、「米国の信用と影響力は減殺された」と断じ、「トランプ氏は米国の同盟・パートナー諸国を軽く扱い、傷つけ、時には見捨てた」などと痛烈に批判した。
その上で、自身が大統領になった場合は「米国の民主体制と同盟関係を回復させ、米国が再び世界を率いることができるよう早急な措置をとる」と訴えた。
具体的には、就任1年目に自由主義世界の国々の指導者を集めた「民主主義サミット」を開催し、「汚職追放」や「権威主義への対抗」「人権の尊重」に一致して取り組んでいく態勢づくりを目指すとした。
また、中国との関係では「米国は強硬な対応をとらなくてはならない」と指摘し、「中国の虐待的な振る舞いや人権侵害に立ち向かうため、同盟・パートナー諸国と統一戦線を構築するべきだ」と強調した。
「永遠に続く戦争」を終結させるため、アフガニスタンと中東から駐留米軍部隊の大多数を撤収させるべきだとも主張した。
ロシアに対抗するため北大西洋条約機構(NATO)を強化させるべきだとも強調。アジア太平洋地域でも日本や韓国、オーストラリアなどの条約同盟国との関係強化を表明した。
トランプ政権が離脱したイラン核合意については「イランが合意を履行するのであれば、米国を合意に復帰させ、合意内容を強化・延長させる」とした。
北朝鮮の核問題では、非核化に向けて同盟諸国や中国と連携し、持続的に取り組んでいくとした。
バイデン氏は上院議員時代に外交委員長を3回務めた。同氏は他の民主党候補に先駆けて外交政策を発表することで有権者らに「外交通」ぶりを印象づける狙いもあるとみられる。