EU離脱直前、北アイルランドの国境付近はカトリック過激派の活動続く



ロンドンデリー中心部で、スプレーで書かれた「IRA」の落書き。新IRAの若者が人員募集を呼びかけるために書いたとみられる(板東和正撮影)
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 英国の欧州連合(EU)離脱が31日に迫る中、英国からの分離をめぐる紛争の舞台となった英領北アイルランドで、治安情勢の不安定化が懸念されている。EU加盟国の隣国アイルランドとの統一を求める北アイルランド住民の一部に、離脱への強い反発があるからだ。国境付近の町、ロンドンデリーでは、過去の紛争でテロ行為を繰り返したカトリック系のアイルランド共和軍(IRA)を想起させる過激派「新IRA」が資金調達などを活発化しており、国境付近でテロなどが発生することを住民らが警戒している。

■警戒解けない住民

 「IRAに加わろう」「N(新) IRA」

 レンガ造りの公共住宅が立ち並ぶロンドンデリー中心部を歩くと、住宅の玄関やフェンスに、白や緑のスプレーで書かれた落書きが目につく。現地の男性(42)は「こんな落書きが増えた。新IRAの若者がメンバー募集を呼びかけているのだろう」と話す。

 人口約10万人のロンドンデリーは、その7割近くの住民が英国から分離してアイルランドとの統一を求めるカトリック系だ。

 北アイルランドでは、1960年代以降、カトリック系と、英国統治を支持するプロテスタント系勢力の対立が激化し、98年の和平合意までに約3500人が犠牲になった。


EU離脱直前、北アイルランドの国境付近はカトリック過激派の活動続く
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 和平合意後、プロテスタント系と武力闘争を繰り広げていたIRAの活動は終了した。だが、合意に納得しなかった一部のIRA民兵が10~20代のメンバーを募り、新IRAを2012年ごろに立ち上げたとされる。昨年、ロンドンデリーで自動車爆弾によるとみられる爆発を起こしたほか、暴動を取材中の女性記者を流れ弾で死亡させた。

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