トランプ米大統領、新中東和平案を発表 イスラエルとパレスチナの「2国家共存」目指す





米トランプ大統領(右)とイスラエルのネタニヤフ首相=28日、ワシントン(ゲッティ=共同)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は28日、イスラエルとパレスチナの新中東和平案を発表した。パレスチナ国家の樹立を容認し、イスラエルとの「2国家共存」を目指すとする一方、占領地ヨルダン川西岸に建設されたユダヤ人入植地のイスラエル主権を米政府として認める方針だ。イスラエルとパレスチナが帰属を争うエルサレムについては「イスラエルの不可分の首都」と位置付けている。

 和平案は「テロ活動」の放棄や人権の尊重、透明性のある政治制度の確立を条件に、「東エルサレム」を首都とするパレスチナ国家を認めるとしている。ここでいう東エルサレムには、イスラエルが支配し、イスラム教やユダヤ教の聖地がある旧市街が含まれないとみられる。

 和平案はユダヤ人入植地のイスラエル主権の認定について、パレスチナの反発を見越し、和平交渉が行われている間はイスラエルが4年間、新たな入植活動を凍結するとしている。

 和平案が提示するイスラエルとパレスチナとの境界分けでは、パレスチナ国家に帰属する領土は自治政府が現在管轄する土地の2倍以上の広さになる。ガザ地区と西岸をつなぐ道路や橋、トンネルも建設するとした。

 トランプ大統領は28日、ホワイトハウスでの和平案発表で「私たちは、過去の失敗した(和平の)取り組みから脱却するべきだ」と強調。同席したイスラエルのネタニヤフ首相は和平案について「永続的な平和に向けた現実的な道筋だ」と述べて全面的に賛同した。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は同日、「エルサレムや私たちの権利は売り物ではない。2人の取引は謀略だ」と述べ、トランプ氏とネタニヤフ氏を名指しで非難した。

中東和平 イスラエルとパレスチナの平和共存を図る政治プロセス。パレスチナ国家を樹立した上で「2国家共存」を目指すとする現行路線は、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の相互承認や、パレスチナによる暫定自治を定めた1993年の「暫定自治に関する原則宣言」を起点とする。同宣言は、ノルウェー政府の仲介による秘密交渉が同国首都オスロなどで行われたことから「オスロ合意」と呼ばれる。



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