中国の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、群馬県の山本一太知事は29日の定例会見で、中国のネット上で影響力を持つ「インフルエンサー」を自ら県内観光地に案内するツアーの実施を延期すると明らかにした。新型肺炎の観光産業への影響は不可避だとの危機感も表明。収束まで長期化すれば県の訪日観光客(インバウンド)戦略の見直しを余儀なくされる可能性もある。
山本知事は中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」のインフルエンサーに同行し、県内のスキー場や温泉を巡るツアーを3月に企画。出遅れている県の中国人インバウンドの取り込みに弾みをつける考えだった。
だが、ツアー実施により新型肺炎の感染リスクを広げる恐れがあり、会見では「いったんツアーは延期する。落ち着くまでは無理だ」と述べた。
県はウェイボとの相互協力関係の構築などを通じ中国人インバウンドの取り込みを積極的に進めている。しかし、新型肺炎が蔓延(まんえん)する事態が長引けば、こうしたネットを駆使したインバウンド戦略は修正を迫られかねない。
山本知事は新型肺炎について「日本の観光産業全体に非常に大きな影響を及ぼす」と悲観的な見通しを示した。
一方で、市場としての中国への期待感などを背景に「中国との連携はしっかり進める」とも強調した。