【ロンドン=板東和正】英国は1月31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)、欧州連合(EU)から離脱した。2016年6月の国民投票から約3年半続いた混迷にようやく終止符が打たれた。英国は1973年にEUの前身、欧州共同体(EC)に加盟してから約半世紀を経て、独自の道を歩むことになる。
ジョンソン英首相は31日夜の離脱直前、国民に向けたビデオメッセージを発表し、「(離脱は)終わりではなく、始まりだ」と強調。「私たちが本当に団結し、レベルアップしていく瞬間」であり、「真の国家の再生、変化の瞬間となりえる」と訴え、「新しい時代の幕開け」を宣言した。
英国は離脱後、12月末まで現状のEUとの経済関係を継続する「移行期間」に入り、EUと自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を始める。ジョンソン氏は移行期間中にFTAを締結して「完全離脱」を実現することを目指しており、11カ月で交渉できるかどうかが注目される。
一方、EUは初めて加盟国が脱退する歴史的な転機を迎えた。加盟国は28カ国から27カ国になる。中国やロシアが台頭し、米欧同盟にきしみが生じる中、欧州の結束が試される。
英国では東欧のEU加盟国からの移民増加などへの不満からEU離脱論が高まり、2016年6月に当時のキャメロン首相がEU離脱の是非を問う国民投票を実施。僅差で離脱派が残留派を上回り、離脱が決まった。
キャメロン氏の後を継いだメイ前首相は離脱条件を定めた協定案にEUと合意したが、英議会で承認される見通しが立たずに辞任。早期離脱を訴えたジョンソン氏の下、与党・保守党が昨年12月の総選挙で大勝を遂げたことで、離脱への道筋がついた。