トランプ大統領に無罪評決 弾劾裁判、疑惑払拭せず 「権力乱用」など2条項





米上院の弾劾裁判(上院テレビ、AP)

 【ワシントン=住井亨介】トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院の弾劾裁判は5日、2つの弾劾訴追条項に関してそれぞれトランプ氏を無罪とする評決を出した。裁判は終結し、トランプ氏は罷免を免れた。ただ、疑惑が完全に払拭されたとはいえず、11月の大統領選や同時に行われる上下両院選に向けて与野党間の対立が激化しそうだ。

 大統領の弾劾裁判は21年ぶりで史上3人目だった。トランプ氏は第17代アンドリュー・ジョンソン大統領、第42代クリントン大統領と同様、有罪・罷免を免れた。

 上院(定数100)は与党・共和党が多数を占めており、陪審員役の上院議員による採決で賛成が3分の2に満たなかった。

 採決は2つの弾劾条項それぞれについて行われた。トランプ氏が大統領選を有利にするため対ウクライナ外交を利用したとする「権力乱用」(有罪48票、無罪52票)と、下院委員会の弾劾訴追調査を妨げたとする「議会妨害」(有罪47票、無罪53票)で、弾劾は成立しなかった。

 共和党からはトランプ氏に批判的なロムニー議員が造反し、「権力乱用」について有罪に賛成票を投じた。

 ウクライナ疑惑は、情報当局関係者が昨年8月に内部告発し、米メディアが報じて明らかになった。

 ロシアの脅威に対峙(たいじ)するために米国の支援を必要としていたウクライナ政府に対し、トランプ氏が凍結した対ウクライナ軍事支援の再開や首脳会談の開催を引き換えに、大統領選で野党・民主党の有力候補であるバイデン前副大統領に関して調査するよう圧力をかけたとされる。

 トランプ氏は疑惑を否定してきたが、民主党が多数派の下院は昨年12月18日にトランプ氏の弾劾訴追を決議。今年1月16日から弾劾裁判が開かれていた。



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