「お互いが抱き合えてこそ解決」 “タイムリミット”意識の拉致被害者家族、政府に一層の奮起促す





【拉致被害者家族会・救う会合同会議終了後、記者会見する(右から)救う会の西岡力会長、横田拓也さん、飯塚耕一郎さん、横田哲也さん=9日午後、東京都港区(鴨川一也撮影)
その他の写真を見る(1/2枚)

 有本恵子さん(60)=拉致当時(23)=の北朝鮮での生存を示唆する情報が入った昭和63年以来、娘の救出を懸命に訴え続けてきた母、嘉代子さんが94歳で亡くなり、家族は「タイムリミット」をより強く意識している。それでも、家族会と救う会は9日の会議で、「全拉致被害者の即時一括帰国」という原則の維持を政府に求め、運動方針として掲げた。個々の不安や悲しみを飲み込み、結果を出せていない政府になお、奮起を促す姿勢を貫いた意味は重い。

 「お互いが笑って泣いて抱きあえてこそ、拉致の解決。もし恵子さんが今帰ってきても、手放しでは喜べないと思う。そういう状況は二度と見たくない」。会議後の記者会見で、田口八重子さん(64)=同(22)=の長男で家族会事務局次長の飯塚耕一郎さん(42)は、うつむいた。

 平成24年に発足した第2次安倍政権は8年目に突入。拉致問題解決を「最優先課題」に掲げてきたが、具体的な進展はない。

 「このままで、本当に解決するのか。実情が見えない」「『最重要課題』『あらゆるチャンスを逃さない』という言葉が、むなしく聞こえる」。家族らは、機微に触れる外交交渉の過程をつまびらかにはできないことを理解しつつも、痛切な思いを吐露する。

続きを読む



Source link