【モスクワ=小野田雄一】天皇陛下とも親交を持つロシアの世界的ビオラ奏者、ユーリ・バシュメット氏(67)が10日、モスクワ国立音楽院でコンサートを開き、日本の著名作曲家、権代(ごんだい)敦彦さん(54)=東京都=の楽曲「オメガ」を3年ぶりに演奏した。聴衆は、ビオラとオーケストラの美しいハーモニーに聞き入っていた。
権代さんは共通の友人を通じてバシュメット氏と知り合い、楽曲提供を約束。2017年、露南部ソチで開かれた音楽祭で、バシュメット氏は権代さんが書き上げたオメガを演奏した。権代さんは「ただ、初演ということもあり、彼は演奏の出来に満足していなかった。『演奏中に曲の本質に気付いた』とも言っていた。リベンジしたい気持ちがあったようだ」という。
オメガはビオラとオーケストラのための楽曲で、約25分。権代氏は「オメガはギリシャ語の最後の文字。全てに訪れる終末と、終末だからこそ感じられる始まりを主題にした」という。
オメガの演奏後、大ホールには聴衆からの喝采が響いた。権代さんは「緊張したが、前回より良かった。よくやってくれました」と笑顔で振り返っていた。