「病院船」配備、新型肺炎受けて政府が「加速的に検討」





衆院予算委員会で答弁を行う加藤勝信厚労相=12日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)

 病院機能を持つ船舶「病院船」は、災害時に対応するために患者の陸上搬送が難しかったり、病院自体が機能を失ったりした場合のほか、感染症でも活躍が期待される。政府はこれまでも保有を検討したが、実現には至っていない。

 加藤勝信厚生労働相は12日の衆院予算委員会で、厚労省が病院船を保有する必要性を問われ、「これまでの議論や課題を関係省庁と探り、配備のあり方は加速的に検討する必要がある」と答弁した。肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、横浜港に停泊中のクルーズ船で多数の乗客に感染が確認された。下船し、医療機関に陸上搬送されること自体が「感染リスクもある」(加藤氏)ため、病院船があれば役に立つ。

 海外では米海軍の病院船「マーシー」が有名だ。1千床の病床や80床の集中治療室(ICU)、最新の各種医療設備を備えた洋上の「総合病院」といえ、スマトラ島沖地震(2004年)などに派遣された。

 日本でも平成23年3月の東日本大震災で医療機関が被災したことを受け、内閣府に検討会が設置され、24年に報告書をまとめた。

 報告書は平時の活用策などの課題を列挙。病院船のほか海上自衛隊や海上保安庁の既存船舶への医療チーム乗船や、陸路を遮断された被災地に船舶で医療機器を上陸させるなど「海からのアプローチにおける幅広い医療機能の可能性」を模索していくべきだといった結論にとどまった。その後も検討は具体化していない。(田中一世)



Source link