国内外で大ヒットした「呪怨」シリーズなどで知られる前橋市出身の映画監督、清水崇さん(47)。前橋文学館(同市千代田町)で生い立ちから最新作「犬鳴村」まで紹介する企画展が開催中だ。怖がりだった少年は「怖がらせる側に回ればいいんだ」と気付き、ジャパニーズホラーの巨匠に。故郷で育んだ創作意欲を燃やし続ける。(宇野貴文)
監督の素質は子供の頃からあったようだ。友達と遊びで肝試しをやるときも「自分はやらずに指示を出す。それが今でも変わっていない」。
ホラーは怖くて、「なんでわざわざ見るの?」と敬遠していたが、中学時代から同級生や家族を撮って映像制作をしていた。「ガキ大将的な面と、他人と距離を取りたがる繊細な面があった」。企画展の会場では、10歳の頃に夢中になった「E.T.」の頭部を紙粘土で作ったフィギュアが強烈な存在感を放つ。
「本当は全身を作るつもりだった。部屋に鍵をかけて1カ月こもって作ったけど、頭の段階で疲れ果てた」
会場では「呪怨」のキャラクターの伽椰子(かやこ)、俊雄と拡張現実(AR)アプリを組み合わせ、携帯電話で撮影できる仕掛けも。体を白く塗って俊雄に扮し、携帯画面に現れる少年は幼なじみの息子だ。
映画作りの現場を初めて経験したのは、同郷の小栗康平さんの監督作で、群馬県中之条町を撮影拠点にした県製作の「眠る男」(平成8年)。装飾助手・小道具担当として参加し、先輩にしごかれた。