【ゴッホを語る】大林組・大林剛郎会長





大林組の大林剛郎会長

 現代美術が好きで、よく美術館に通っています。現代美術に影響を与えた芸術家を調べているうちに、ゴッホにも興味がわきました。印象派の影響を受けた風景画はどこか日本の田園風景も感じさせ、日本にファンが多い理由の一つでもあると思います。

 現代美術の芸術家には印象派を好きな人が多い。伝統にとらわれず、個性を大事にする点に共感するのでしょう。フランスに移ってからのゴッホの絵は、個性が強く出てきたように感じます。独特の色彩、タッチ。誰が見てもゴッホと分かる作品です。構図のユニークさは、彼が愛した浮世絵の影響もあるでしょう。「夕暮れの松の木」は、それまでの西洋画にない構図だと思います。浮世絵など日本文化の影響も感じます。

 強烈な個性がなかなか理解されず、死後に評価の高まったゴッホ。ゴッホにしろピカソにしろ、変革者は多様性のなかから生まれました。いつの時代でも、多様性をどう育てていくかは変わらない課題です。

 絵は独学だったゴッホですが、周囲の友人や浮世絵など、外部から影響や刺激を受けて独自の世界をつくったのだと思います。企業も同じで、さまざまな個性が集まり刺激し合った方が活力になります。個性を見抜き、どう育てていくか。グローバル化でますます多様性が求められる社会となるなか、そんな課題も考えさせられました。(内山智彦)



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