中銀のグリーンボンド購入は否定的、黒田日銀総裁「政府の役割」


 中央銀行が気候変動などの環境問題に関与すべきだとの議論が広がる中、一部の中銀で環境保全対策の資金調達のために発行する債券「グリーンボンド」の購入を検討する動きがある。これについて、日本銀行の黒田東彦総裁は産経新聞のインタビューで「(購入は)気候変動に対する政策であり、政府の役割になる」と指摘。中銀や金融機関が購入に関与すべきではないとの考えを強調した。

 グリーンボンドの購入をめぐっては、欧州中央銀行(ECB)内で積極的に買い入れるべきだとの意見がある。1月にはECBのラガルド総裁が気候変動対策の一環として、量的緩和の購入対象資産にグリーンボンドを含める可能性を示唆している。

 だが、黒田総裁は「金融機関にグリーンボンドを支援させる、あるいは中央銀行がグリーンボンドを買うところまで行くかは別の話」と説明し、政治が対応すべき役割との見解を示した。中銀のグリーンボンド購入については米国や英国も慎重姿勢で、ECB内でも意見が割れている。ドイツは「中銀が環境政策を推進する正当性がない」などの理由で黒田総裁と同様の対応姿勢をとっている。

 一方で、黒田総裁は「金融機関の気候変動リスクは十分、見ていかないといけない」とも明言。日銀が昨年末から参加している気候変動の影響を国際的に議論する「気候変動リスクに関する金融当局ネットワーク(NGFS)」との連携を進めていく方針を明らかにした。



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