「怒りと悲しみしか」大津園児事故被害者家族ら





判決が言い渡された大津地方裁判所

 大津市の交差点で昨年5月、車2台が衝突し保育園児ら16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)やストーカー規制法違反などの罪に問われた右折車の新立文子被告(53)の判決が大津地裁であった。大西直樹裁判長は17日、禁錮4年6月(求刑禁錮5年6月)を言い渡した。当初判決予定だった1月の公判で、被告が従来の主張を変え起訴内容の一部を争うとしたため、審理が再開され判決が延期されていた。

 「被害者を逆なでするようなことをして心から申し訳なく思っています」。被害者参加制度に基づき検察側に座った遺族らが厳しい視線を向ける中、声を詰まらせながら謝罪の言葉を口にした新立被告は実刑判決が言い渡された瞬間、身動き一つせず、判決理由にじっと聞き入った。

 新立被告は結審後の昨年12月、民放番組の取材に応じ、「不運が不運を呼んだ事故」などと述べ、直進車にも過失があるかのような主張を展開。判決言い渡しが予定されていた1月に突然、起訴内容の一部を否認する姿勢に転じたため、大西直樹裁判長は判決を延期し、審理の続行を決定した。

 新立被告は17日に改めて行われた被告人質問で、声を詰まらせ涙を流す姿を見せた一方、弁護側から「不運が不運を生んだ事故とはどういう意味か」と聞かれると、「直進車が減速していたら。防護柵があれば。保育園児が電柱の奥にいたら」と前を見据え、はっきりとした口調で自身の主張を訴えた。

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