日本銀行が民間銀行の資金を預かる際に年0・1%の手数料を取る「マイナス金利」政策を始めてから、丸4年が経過した。マイナス金利政策は金利全般の低下に抜群の効果を発揮したものの、最近は銀行の収益力低下、年金基金や生命保険の運用難といった弊害に焦点が当たることが増えてきた。
海外では、スウェーデン中央銀行が昨年末、5年近く続けたマイナス金利を解除するなど、“脱・マイナス金利”の機運が高まっている。日銀の動きも注目されるが、黒田東彦総裁はインタビューで「現時点で政策効果はコストを上回っていると判断しているが、副作用も考慮する必要がある」と述べ、慎重に政策運営を続ける考えだ。
日銀が大規模な金融緩和を続けるのは、物価上昇の力が弱いからだ。昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品除く)の上昇率は前年同月比0・7%。日銀が目指す2%にはほど遠い。
こうした中、国際通貨基金(IMF)は昨年11月、日銀に対し、2%の物価上昇目標に幅を持たせたり、誘導対象としている国債利回りの年限を現在の10年よりも短くすることで、長期金利が上昇しやすくなると提言した。
これに対し、黒田総裁は「2%目標を修正するとか、レンジ化するという考えはない」と明言。理由として、「主要国はほとんど2%目標であり、日本だけ下に置くと恒常的に円高圧力が出てくる」と説明した。消費者物価指数は実態よりも高めに出る傾向があることや、経済環境の急変に備えて金利を引き下げる余地を確保する必要性も挙げた。