昨今、体験型の“コト消費”重視の潮流を受け、出版業界も“体験コンテンツ”の提供に力を入れ始めている。特に注目すべきは、今年オープンを予定している、講談社の「ミクサライブ東京」と、KADOKAWAの「ところざわサクラタウン」。両施設とも現在はハードの整備を進めつつ、ソフトの充実を図ろうと多種多様なアイデアが検討されている。令和2年は出版業界の「体験コンテンツ元年」となるか。(加藤聖子)
■臨機応変に“実験”
講談社は3月19日、東京都豊島区の池袋駅からほど近い場所に「ミクサライブ東京」をオープン予定だ。もともと、池袋で親しまれてきた映画館「シネマサンシャイン池袋」のビルを大規模修繕。音楽ライブや演劇などが可能な4つのホールと、ショップ、カフェを備える施設に生まれ変わらせる。同社ライツ・メディアビジネス局事業開発部長の松下卓也さんは「出版社では、小説や漫画のヒット作が映像化されるという二次展開がおなじみになっているが、今は“コト消費”の時代。二次展開の他の形として、ライブ化、体験化も求められている。ミクサライブはその拠点として活用していきたい」と意義を説明する。
4つのホールの収容人数はそれぞれ140~400人規模と大きくはないが、「施設の目的の一つは、新たなコンテンツをいろいろと試して実験していくこと」(松下さん)。実験しやすいこの規模は、むしろ武器と捉えているようだ。