大阪市の松井一郎市長は21日、検討に乗り出している市内の公立小中学校の給食無償化について、「令和3年度(の実施)に向けて担当部局と協議する」と述べ、現在市教育委員会を中心に制度設計中であると説明した。市役所で記者団の取材に答えた。
松井氏は給食無償化の狙いについて、「すべての子供たちに栄養のあるものを食べてもらいたいと同時に、子育て支援にもつなげ、住みやすい都市にしたい」と強調。市内の小中学校すべてを無償化すれば60億~70億円程度の財源が必要だといい、「市の体力であれば十分財源は生み出せる」と話した。
今後所得制限を設けるか否かなど詳しい検討を行い、実施に向けた施策づくりを行う方針。
親が経済的に困窮し、満足に食事が取れない「子供の貧困」が社会問題化する中、栄養ある日々の給食を無償提供することで、教育費がかさむ子育て家庭を支援し、子供の成長を支えるのが狙い。
市では、教育関連費などの財源の一部を充てる構想で、関係部局に制度設計を指示、今後1年程度かけて詳細を詰める。学校給食無償化を実施している自治体は全国でわずか約4%で、人口1万人未満の自治体がほとんど。大阪市レベルの規模では例がなく、実現すれば政令市では初めてとなる見込み。