過去にタイムスリップし、連続毒殺事件の犯人として逮捕された父の事件直前の姿を見て、父の無実を信じ、過去を変えることに挑む田村心(しん)。ミステリーであり、父と息子の絆といった家族愛も描かれる本格大作の主演を務める。単独主演としては「仮面ライダードライブ」(平成26~27年)以来だ。
「役も難しいのでいっぱいいっぱいになる。どうやったら面白くなるか、本番までずっと考えている」
重圧は半端なものではないようだ。タイムスリップし、過去に起きた事件を未然に防いで、現代に戻ってくると、最愛の妻、由紀(上野樹里)は、一連の事件を追う週刊誌記者となっており、心とは面識がないなど状況が変わっていた。「取り乱したり、強がってくじけたりしても、心(しん)の“心の奥”に入ってくるのは由紀の言葉。頑張れる活力となっているのは由紀だけれど、(状況が変わっているので)難しい感情」と吐露する。
ただ、「周りのキャストにすごく助けられている」ともいい、父、佐野文吾役の鈴木亮平をはじめ、さまざまなキャストと「こうした方がいい」といった話し合いも生まれていると明かす。連続毒殺事件の犯人が父だと、過去で告白するシーンでは、「亮平さんにもいろいろ提案してもらって」試行錯誤を繰り返した。
「考えや思っていることは似ている部分もあるけれど、亮平さんは1周回って俯瞰(ふかん)することができる」といい、今回の役柄に重ね合わせ、「何だか自分の父親と酒を飲むような感覚に似ているかな」と感じる部分もあると話す。
自身はかつて、プロサッカーのユースチームに所属したが、プロにはなれなかった。俳優となってからは「(当時の)チームメートがみんなプロ選手になっていたので、内心は焦っていて、仕事をしてみんなに知ってもらわないと、という思いだった」という。それが今では「自分がこういうスタイルなんだというのは明確になってきた」と自信をつけた。
だからこその「日曜劇場」主演だが、「いろんな人が主演し、たくさんの先輩が結果を残してきたからこそ、世間の評価も高い枠」と気を引き締める。
「最初は(運命から)逃げ続けていた主人公が、過去と未来を行き来し、たくましくなる姿を見てほしい。テレビの前で一緒に戦ってくれるとうれしい」と視聴者に呼びかけた。 (文化部 兼松康)
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たけうち・りょうま 平成5年生まれ。東京都出身。25年にファッション誌のモデルオーディションでグランプリ。翌年、特撮作品「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日系)の泊進ノ介役で主演した。映画「帝一の國」などにも出演。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」ではヒロインの恋人役を演じた。TBS「日曜劇場」では「下町ロケット」「陸王」「ブラックペアン」などにも出演した。