20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は23日、2日間の日程を終え閉幕し、共同声明には「新型コロナウイルスの最近の流行を含むグローバルなリスク監視を強化する」と明記された。ただ、新型肺炎の発生源である中国の閣僚や中銀総裁は国内対応を優先して欠席するなど、具体的な対応策を議論するには至らなかった。
共同声明では、世界経済は2020~21年にかけ緩やかに上向くと評価。ただ、米中貿易摩擦や地政学リスク、新型肺炎を含めた不確実性から、見通しの下方リスクは根強いと指摘した。こうしたリスクに対しては「さらなる行動をとる用意がある」との考えを示した。また、持続的な成長のため、財政や金融政策などを総動員するとした。
麻生太郎財務相は会議後の記者会見で、新型コロナウイルスの影響について「どれくらいのものになるかはよく見えていない」と述べた。日本銀行の黒田東彦総裁は「必要な時に必要な措置をとれるよう万全を期す」と強調した。
一方、巨大IT企業への「デジタル課税」をめぐっては、日本を含む約140の国と地域が1月末に大枠合意した経済協力開発機構(OECD)の骨格案を承認した。年内に最終合意することを再確認した。米国が提案した、企業が新ルールで納税するかどうかを判断する「選択制」については議論が継続される。
現金に代わる決済手段で中銀や民間企業が発行する「デジタル通貨」についても話し合われた。(リヤド 林修太郎)