東京高検の黒川弘務検事長の定年延長をめぐり、主要野党は、検察官の定年延長を可能にする法解釈の変更は「黒川ありきの後付けではないか」と批判しており、25日の衆院予算委員会分科会でも以前の政府見解との齟齬を追及した。そもそも、ここまで不信感を持たれた背景には、政府の説明が後手に回り、国会答弁も二転三転した面が大きい。公正さが求められる検察官の身分に関わるだけに、政府には透明性を持った説明責任が求められる。
■「長期間議論、後付けではない」
「検察官も、国家公務員法(国公法)に規定される(定年の)特例延長制度の適用は排除されない」
法務省関係者によると、同省の辻裕教事務次官は1月17日、省内の大臣室を訪れ、森雅子法相に検察官の定年延長を認める法解釈の決裁を求めた。森氏はその場で、了承する旨を口頭で伝えた。手元には、省内の議論をもとにした法解釈をめぐる内部文書があった。
森氏は2月25日の衆院予算委分科会で、遅くとも昨年以来、政府内で国家公務員全体の定年延長が議論されていると言及。その過程で、法務省として国公法と検察庁法との関係を精査したと説明している。同省関係者は「長期間この問題を議論しており、後付けではない」と語る。
■ずさんさ目立った対応
政府は、一連の手続きに瑕疵はないとするが、手続きや経緯の説明にはずさんさが目立った。