東京都の都議会定例会は26日、代表質問が行われ、全国的に感染が広がる新型コロナウイルスへの対策について、各会派から質問や注文が相次いだ。小池百合子知事は「この1~2週間が、感染の拡大か終息かの瀬戸際」と述べ、対応に全力を挙げる考えを示した。
都民ファーストの会の増子博樹都議は「感染の拡大抑止と感染した方への両面の対策が求められる。必要な人がウイルス検査できる態勢と、医療現場との適切な情報共有も重要だ」と指摘した。これに対し、小池氏は「医療体制の充実や広報の徹底、都立学校の授業の開始時間を遅らせるなど具体策を指示した」と述べた。
その上で、都の新型コロナウイルスに関する相談窓口について、聴覚障害者の相談をファクスで受け付けるほか、多言語にも対応するよう拡充するとした。ウイルス検査体制の強化などの取り組みを紹介した。
公明の東村邦浩都議は「今後の流行を想定し、医療機関への必要な資機材の提供が急務だ」と語り、小池氏は「マスクや消毒薬の安定的な流通を国に働きかけるとともに、必要な防護服を提供する」と応じた。
産業面への影響を懸念する質問も出た。自民の鈴木章浩都議は「とりわけ中小零細企業への影響が大きく、(経済対策に)基金を取り崩すくらいの大きな決断が必要だ」と注文した。小池氏は「緊急融資制度を創設し、中小企業の国内外への販路の開拓支援も強化する」と答弁した。
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都は26日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた新たな対策を決めた。人気観光スポットとなっている都庁第1本庁舎45階にある展望室を27日から3月15日まで閉鎖する。
駒沢オリンピック公園総合運動場など6つの都立スポーツ施設に関しても同じ期間、トレーニングルームや屋内プールの個人使用を中止する。今後の状況に応じ、対象施設や使用中止期間が変更になる可能性があるとしている。
都立の中学校、高校、特別支援学校に関しては、児童・生徒、教職員が感染した場合に感染が確認された日から14日間を目安に休校する方針を決めた以外にも、満員電車の利用を避けるため、通常日の始業時間を繰り下げ、部活動も自粛を促すとした。卒業式も保護者や来賓には参加自粛を要請し、時間を短縮して実施する方針。
また、都営地下鉄の駅改札口付近に赤外線サーモグラフィを設置し、利用客自らが乗車前に体温をチェックできる態勢整備も検討中としている。