【主張】首相の休校要請 説得力ある呼びかけを 「緊急事態宣言」へ法整備急げ

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 安倍晋三首相が、中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国すべての小中高校などに対し3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう要請した。

 政府の25日の基本方針にもなかった異例の対応であり、社会に与える影響は極めて大きい。新型肺炎の流行を抑制するため、必要かつやむを得ない措置を政治決断したものといえる。

 問われるのは、この措置についての説得力のある説明だ。流行に関する現時点の見通しはもちろん、なぜ今、一斉休校とし、これを春休みまでとしたのかという理由も聞きたい。休校するかどうかで抑制効果がどれほど違うのかも示すべきである。

 ≪後手の対応を立て直せ≫

 安倍首相は29日に記者会見を開き、国民の協力を求める。1月中旬に日本で感染者が確認されてから初めての会見であり、遅きに失した感は否めない。

 政府のこれまでの対応は後手に回り、情報開示も不十分だった。その点への真摯(しんし)な反省はもちろん必要だ。同時に、国民が国政の最高責任者の説明を求めていることを銘記すべきである。首相には新型肺炎と戦う態勢を立て直すよう指導力を発揮してほしい。

 休校要請の対象となる児童、生徒らは約1300万人いる。日本の歴史にこれまでなかった規模だ。新型ウイルスとの戦いが容易ならざるもので、日本が緊急事態の渦中にあることを意味する。

 休校を決める権限は政府ではなく、全国の教育委員会や学校法人にある。首相の表明を受けて文部科学省や各教委からは驚きの声があがった。首相が打ち出さなければ全国一斉休校は到底実現できない。各地の教委などは要請を重く受け止めて対応すべきである。

 学校は、大勢の子供が日々、同じ教室で学び、食事もとる集団生活の場だ。ウイルスにとって格好の温床となる。子供たちがウイルスを持ち帰り、高齢者を含む家族に感染を広げる図式はインフルエンザと共通する。一斉休校の意義は大きく、感染者や犠牲者を減らすことに寄与するだろう。

 およそ百年前にスペイン風邪が日本で大流行した際は、学校や軍隊から全国へ感染が広がった。その教訓を忘れてはならない。

 一方で全国一斉休校はさまざまな副作用をはらむ。それへの対応策も整えなくてはならない。

 一人親や共働きの家庭では、保護者の仕事をどうするかという問題が生じる。文科省は学童保育を朝から開所するよう求めた。千葉市などは休校後も、低学年の児童を小学校で預かる方針だ。

 政府や自治体、勤務先、家族が知恵を絞ることもウイルスとの戦いである。東日本大震災の際に多くの人々が助け合ったことを思い出したい。

 首相は衆院予算委員会で、収入減となるパート労働者など保護者への支援策検討を表明した。急ぎ具体策をまとめるべきだ。

 米国株式市場の株価が史上最大の下げ幅を記録し、28日の東京市場でも一時1千円を超える下げ幅となった。企業の資金繰りへの支援など、万全の対策を講ずべきは当然である。

 ≪検査態勢の拡充必要だ≫

 感染の急拡大を受けた法整備も浮上している。安倍首相は28日の衆院総務委員会で、新型インフルエンザ等対策特別措置法を参考に法整備を急ぐと表明した。今後、同特措法にあるような「緊急事態宣言」を活用すべき局面がくるかもしれない。与野党は協調して早期に法整備を果たしてほしい。

 新型肺炎対策は、一斉休校だけで済む話でもない。現時点でも湖北・浙江両省以外の中国から、1日平均800人の入国がある。これで大丈夫なのか。

 感染の有無を調べる検査態勢の拡充は急務である。加藤勝信厚生労働相は来週中に検査の公的医療保険適用を決める意向を示したが遅すぎる。現場の医師が必要と判断すれば検査できる態勢を整えなくては、感染の抑制も治療も不十分となる。民間検査会社の全面協力が欠かせない。

 企業などは政府の呼びかけに協力し、相次いでイベントの中止・延期を決めている。そのような中で秋葉賢也首相補佐官が26日夜、立食形式の政治資金パーティーを開いた。言語道断で首相を支える任に堪えない。更迭することが当然である。

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