【ワシントン=住井亨介】新型肺炎を引き起こすコロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、トランプ米政権が対応を本格化させ始めた。トランプ大統領から対策の統括役に任命されたペンス副大統領は27日、ホワイトハウスに置かれた特別対策チームの強化に着手したほか、感染拡大に備えて国内でのマスク増産の検討も始めた。
「連邦政府すべての資源を米国民を守るために投入する」。ペンス氏は27日、ワシントン市内で開かれた会合でこう宣言した。
株価が急落するなど景気減速への懸念が強まる中、ペンス氏は同日、省庁横断の特別対策チームにムニューシン財務長官、クドロー国家経済会議委員長らを新たに追加。米疾病対策センター(CDC)でのエイズウイルス(HIV)研究を率いたことで知られ、国務省でエイズ対策などを担うバークス氏を調整官として起用し、直接助言を受ける態勢を整えた。
ロイター通信が複数の当局者の話として伝えたところによると、政権は感染対策として朝鮮戦争時の1950年に成立した「国防生産法」に基づく特別権限を使い、不足が懸念されるマスクや防護服の国内生産の拡大も検討し始めた。
一方、トランプ氏が感染拡大の対策費として25億ドル(約2740億円)規模の拠出を議会に求めていることをめぐり、与党・共和党からも後押しの動きが出ている。共和党上院トップのマコネル院内総務は27日、緊急対策予算が今後2週間以内に上院本会議で承認されることに期待感を示した。