細川千尋 ジャズとクラシックの融合目指す



「ジャズとクラシックの融合で独自の音楽を作る」と語るジャズピアノ奏者、細川千尋さん=東京都渋谷区(石井健)

 女性の活躍が目覚ましいジャズの世界に、また一人ユニークな才能が飛び出した。ピアノ奏者の細川千尋(31)だ。大手流通に乗った最初のアルバム「マイ・バリエーションズ」を出した。ピアノトリオに弦楽四重奏団を加え、クラシックの室内楽的なアプローチでジャズの巨人の一人、ピアノ奏者、ビル・エバンスの音楽を検証した。

 「クラシックとジャズは、いわば“言葉遣い”が異なる音楽。私は、一曲の中にどちらの言葉遣いも取り込んで、唯一無二の音楽を作りたい」とクラシックとジャズの“バイリンガル”を目指す。

 川崎市の音大でクラシックのピアノを学んでいたが、ジャズ学科が新設、ピアノ奏者がいないからと演奏に誘われ、ジャズに興味を持った。教授の勧めでスイスのジャズフェスティバルのピアノ独奏コンペに出場した際、「ここで生きていきたい」と強く感じ、帰国後、ジャズのピアノ奏者として歩み始めた。

 ビッグバンドに弦楽団を加えて注目されるジャズ作曲家、挾間(はざま)美帆(33)もいるが、細川のアプローチを「邪道」と批判するジャズ、クラシックファンはまだいるだろう。だが、今回のアルバムを録音し、「誰に何を言われようと、こういう音楽を作っていくのだという覚悟が生まれました」と力強く語る。(石井健)



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