クルーズ船は船籍国と寄港国、どちらに責任があるのか…感染防止義務分かれる意見

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横浜・大黒ふ頭に接岸しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=2日午後、横浜市(佐藤徳昭撮影)

横浜・大黒ふ頭に接岸しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=2日午後、横浜市(佐藤徳昭撮影)

 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの集団感染が発生した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐり、感染拡大を防止する義務が船籍国と寄港国のどちらにあるのか国際的なルールが明確になっていない実態が浮き彫りになっている。船内で集団感染が起きた場合の責任の所在について、法律や危機管理の専門家の間でも意見が分かれている。

 ダイヤモンド・プリンセスは英国船籍だが、対応の責任は日本が担ってきた。海洋問題を専門とするアンドリュー・リー弁護士は「ダイヤモンド・プリンセスで起こった状況について英国に法的責任があった可能性は低い」と述べた。

 さらに、リー氏は、集団感染などの重大な問題を抱える船が先進国の領海に入った場合、「その国が何の対応もしなければ大きな非難に直面しただろう」と指摘する。ダイヤモンド・プリンセスは新型コロナウイルスの感染が発覚した2月1日時点で那覇に寄港していたことから、日本政府が対応しなければ人道上の批判を招いていたとの考えを示した。

 一方で、英政府の責任を追及する意見もある。

 東京理科大の平塚三好教授(危機管理)は「ダイヤモンド・プリンセスは公海上の渡航中に感染がすでに発生していた可能性がある」と分析した上で「国際法の旗国主義を鑑みて、船籍国である英国が感染症の拡大を防止する対応を行うべきだったのではないか」と話した。法律専門家で、ロンドン大シティ校で講師を務めるジョナタン・ファーナンデズ氏も「ダイヤモンド・プリンセスが横浜港に停泊する前に、英国が船内の消毒などを乗員に指示する必要があった」と批判した。船会社がある米国に対しても感染拡大を防ぐ措置を取るべきだったとの指摘がある。

 国連海洋法条約では、船籍が登録されている国が排他的な管轄権を持つと明記されている。このルールは、公海上での船舶の保護は船籍国の責任で行うべきだとする「旗国主義」の考え方がある国際法に基づく。ただ、国連海洋法条約には船籍国に乗組員の訓練などの安全確保が義務づけられているが、感染症対策について具体的な記述がない。

 日本政府はダイヤモンド・プリンセスが横浜港に入った2月3日から船内で検疫を開始し、医療品の配布などの支援を行ってきた。

 一方、日本政府がダイヤモンド・プリンセスへの対応に苦慮する中、英国への批判が一層高まる出来事があった。5月に行われるロンドン市長選の主要候補が2月19日、ツイッターで新型コロナウイルスの感染拡大で今夏の東京五輪・パラリンピックが開催できない場合、代わりにロンドンで開催する用意があるとの考えを示したのだ。主要候補のツイッターには「英政府はダイヤモンド・プリンセスの問題で何も支援をしていないのにずうずうしい」などとする非難の投稿が日本や英国などから殺到した。

 英メディアによると、主要候補の発言後、英オリンピック委員会(BOA)は東京五輪の開催を支持する方針を示したという。英政府関係者は「BOAは、日英関係に悪影響を与えることに危機感を抱いたようだ」と話した。

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