大阪府泉大津市は令和2年度から、市立図書館の機能拡張に乗り出す。図書館の管理や運営を民間の指定管理者に委託する自治体も増えているが、あえて行政主体の整備、運営を選択。地域に新たな価値を生み出すイノベーションの拠点としての活用を目指す。
新図書館は、3年7月の開館に向け、現在の場所から約1キロ西の南海本線泉大津駅前の商業施設「アルザ泉大津」内に移転。通勤、通学の途中で利用しやすくなるなど、利便性が向上するとしている。
蔵書などを閲覧するスペースも、現在の54席から500席以上に拡張。絵本を1万5千冊、一般図書を1万冊購入して蔵書を充実させる。地域住民向けのコミュニティースペースなども設置。共同作業などのために誰でも利用できる「コワーキングスペース」は、異業種間の交流などに活用されることが期待されている。
公立図書館の運営をめぐっては、民間企業などを指定管理者として委託するケースが相次ぐ一方、民間委託はなじまないと導入を見送る自治体も多い。今回の機能拡張について、泉大津市は「指定管理者制度では委託料の中でできる施策が限られることもある。これまで通り直営で、図書館を軸とした街づくりを進められると考えた」と説明している。
同市が発表した新年度当初予算案は、一般会計が前年度比12・0%増の302億円。市立図書館の移転整備には7億3千万円が計上されている。