参政党躍進の舞台裏:ジャーナリスト篠原常一郎氏が語る「守り神」としての役割と距離

7月20日に投開票された参議院選挙で、政治団体である参政党が大躍進を遂げた。この背景には、元日本共産党員でジャーナリストの篠原常一郎氏の存在があるとされている。彼は参政党結党時のボードメンバーの一人であり、現在はアドバイザー的な立場で党運営や選挙に深く関わっているという。現在の党の主張には賛同できない面もあるとしながらも、なぜ篠原氏は「守り神」として党への関与を続けるのか、そして参政党の未来をどう見据えているのか、その内情を探る。

参政党結党への関与と「守り神」としての貢献

篠原氏が2020年の参政党結党に関わった経緯は、現代表である神谷宗幣氏との共通の知人の紹介から始まった。篠原氏は、日本共産党や民主党などで20年以上にわたり政党職員や議員秘書を務めてきた豊富な経験を持ち、その知識と経験を活かしてアドバイザーの役割を引き受けた。

党内では「参政党の守り神」とも称される篠原氏は、現在の党組織のあり方や運営システムの構築を提案した人物だ。特に彼は、議員だけでなく一般党員がやりがいを持って積極的に活動できる党を目指し、その仕組み作りに尽力したと語る。

具体的な例として、参政党から選挙に出馬する候補者の公認が、党運営に積極的に関わる「運営党員」たちの投票によって決定されるシステムを提案した。運営党員は一般党員よりも多くの党費を払い、党運営に深く関わる特別な党員である。篠原氏は、運営党員たちの候補者を見る目が非常に厳しく、「演説が下手すぎる」といった理由で信任されないケースも何度も見てきたと明かす。自分たちが選んだ候補者であれば、彼らを応援しようという強い思い入れが生まれると分析している。

また、選挙戦略についても長期間にわたりアドバイスを提供し、今回の参議院選挙の候補者たちには演説の具体的なやり方も指導したという。神谷代表が困った際には相談に乗るなど、設立当初から多岐にわたるサポートを続けてきた。

参議院選挙で躍進した参政党の代表である神谷宗幣氏が会見に臨む様子。参議院選挙で躍進した参政党の代表である神谷宗幣氏が会見に臨む様子。

理念の相違と変わらぬアドバイザーの立場

しかし、篠原氏は現在、参政党の主張と自身の考えには「かなり違う」部分があると明言している。この理念の相違から、以前よりも党との距離を置いているとも語る。それでもなお、彼はアドバイザーとしての役割を完全に手放しているわけではない。神谷代表が助けを求めた際には、これまでと同様に相談に応じているという。

長年の政治経験と、参政党の初期の組織設計に深く関わったという自負が、彼を完全に党から離れさせない複雑な関係性を生んでいると見られる。党の土台作りに貢献した自身の責任と、現在の党の方向性との間で葛藤を抱えながらも、その「守り神」としての役割をある程度果たし続けているのが現状だ。

結論

ジャーナリスト篠原常一郎氏の知見と経験が、参政党の組織基盤の構築と、その後の参議院選挙における躍進に大きく寄与したことは疑いの余地がない。彼の存在は、単なるアドバイザーに留まらず、党の「守り神」として、その成長を陰で支えてきた。しかし、現在の党の主張との間に生じた理念の隔たりは、彼の役割に新たな複雑さをもたらしている。参政党が今後どのように発展し、その中で篠原氏がどのような形で関わり続けるのか、あるいは距離をさらに広げるのかは、引き続き注視すべき点となるだろう。

参考文献