麻生太郎財務相は6日夜、記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた企業を支援するため、金融機関に年度末に向けた資金繰り支援で万全を期すよう要請した。金融庁に対し貸し付け条件の変更などの取り組み状況を報告させ、公表する方針だ。
麻生氏は2月7日に同様の要請をした後も、「事業者からの資金繰りに関わる不安の声が業種を問わず非常に多く寄せられている」と指摘。金融機関に対し、事業者訪問や金融相談窓口の設置などを通じ企業の経営実態をきめ細かく把握するよう「強く要請」した。
また、企業が融資の返済猶予など条件変更を求めた際は迅速かつ柔軟に対応することや、担保を弾力化するなど各金融機関の緊急融資制度の積極的な実施、企業に多大な書類の提出を求めないよう配慮することなどを列挙。「営業担当者を含む金融機関全体に徹底」するようくぎを刺した。
金融庁は銀行法に基づいて、金融機関に貸し付け条件変更などの申し込み数や、実際に変更した件数、断った件数を報告させる。金融機関への特別ヒアリングを実施し、必要に応じて検査を実施することで取り組み状況を確認する構え。
感染拡大に伴い、国内外の旅行客が減少して観光業に影響が出ているほか、中国経済の低迷による輸出関連企業の業績悪化も重なり、年度末の企業の資金繰りに懸念が強まっている。自民党が3日取りまとめた提言でも中小企業への資金繰り支援が盛り込まれた。