肺炎を引き起こす新型コロナウイルスへの対応をめぐり、自民党がSNS(会員制交流サイト)を活用した発信を強化している。誤解を与えかねない情報には、「反論」も辞さない構えだ。一方、野党はこうした取り組みは「圧力」だとして批判を強めている。
「大きく間違っているときは『間違っている』と言うべきだ」。自民党の二階俊博幹事長は10日の記者会見で、新型コロナに関する党の発信についてこう述べた。背景には見解の相違がある。
テレビ朝日番組「羽鳥慎一モーニングショー」は5日、政府が成立を目指す「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案について「総理が法律改正にこだわる理由は『後手後手』批判を払拭(ふっしょく)するため、総理主導で進んでいるとアピールしたい」とする政治アナリストの談話を紹介した。
これに対し、自民党は6日、公式ツイッターで「不測の事態に備えるため『打てる手は全て打つ』というのが法律改正を目指す理由です」と説明。内閣官房国際感染症対策調整室もほぼ同じ内容をツイートした。
4日のTBS番組「Nスタ」で出演者が新型コロナについて「インフルエンザよりもかかりやすい」との認識を示した際も、自民党は「季節性インフルエンザと比べて感染力は高くない」とする世界保健機関(WHO)の見解を紹介。厚生労働省もツイッターで「そのようなエビデンス(証拠)はない」と投稿した。
こうした自民の姿勢について、立憲民主党の蓮舫副代表は7日、自身のツイッターで「報道規制・言論統制が無謀な戦争に突入した要因の一つ」と問題視。共産党の小池晃書記局長も記者会見で「表現の自由に対する乱暴な介入と言わざるを得ない」と非難した。
ただ、自民党は誤った情報でトイレットペーパーが品薄になるといった現状を念頭に、「国民の生活や生命に関わる問題であり、明らかに誤った情報については反論していく」(党幹部)との立場だ。(広池慶一)