公取委、楽天への緊急停止命令申し立てを取り下げ


 公正取引委員会は10日、東京地裁に対し、通販サイト「楽天市場」の送料を出店者負担で一部無料にする方針を掲げていた楽天への緊急停止命令の申し立てを取り下げたと発表した。楽天が無料化を出店者の任意制に切り替える姿勢に転じたことに対応する。一方、公取委に調査を求めていた出店者団体「楽天ユニオン」は、楽天が無料化への参加を事実上、強制すると懸念しており、公取委も調査は継続するという。

 公取委の山田弘審査局長は10日の記者会見で、「出店者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は一時停止を求める緊急性が薄れると判断した」と述べた。

 楽天ユニオンは10日、公取委の取り下げ発表に先立って記者会見し、楽天側が18日から送料無料化に踏み切るに当たり、参加しない出店者は除外申請や送料の設定などの手続きをしなければならないことを問題視。無料化に参加しない出店者が差別的な取り扱いを受ける可能性も指摘した。

 公取委は、「(除外の)申請や送料の設定は、それほど大きな手間ではない」(稲熊克紀第二審査長)と認定。一方で、変更後の仕組みを調査した結果、差別的な取り扱いなど独占禁止法違反が認められれば、楽天に対し、違反行為を取りやめるように命じる「排除措置命令」を出す可能性もあるとした。

 公取委は今年2月、「優越的地位の乱用で、独禁法違反の疑いがある」として、排除措置命令が出るまで、楽天に無料化を始めさせない命令を東京地裁に求めていた。



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