台湾市民の武漢撤収第2陣、ようやく実現 中台間で紛糾





マスク姿で台湾・台北市内を歩く人々(AP)

 【台北=田中靖人】台湾の蔡英文政権が中国湖北省武漢から台湾市民をチャーター機で退避させる第2陣が1カ月以上ぶりに実現し、361人が台湾に戻った。台湾の中央通信社が11日、伝えた。第1陣247人の退避は2月3日に実施されたが、新型コロナウイルスへの感染者がいたことなどから中台間の交渉が紛糾し、後続が延期されていた。

 第1陣は台湾を「外国」扱いするのを嫌う中国側が台湾のチャーター機の受け入れを拒否し、中国東方航空機で送り返した。その際、中国籍の配偶者が多数いたほか、事前の搭乗名簿にない人物が3人乗っており、うち1人に感染が確認された。台湾側はこれに加え、「高齢者や婦女子が優先されなかった」と反発。2日後に予定していた第2陣は中止され、中台双方の当局が、中止の原因は相手側にあると非難しあっていた。

 今回の第2陣は、台湾側が派遣した中華航空の1機が10日深夜、中国側の中国東方航空1機が11日早朝、計361人を台湾に運んだ。台湾の陳時中・衛生福利部長(厚生労働相に相当)は10日、「搭乗できるのはウイルス検査で陰性で発熱のない人に限る」と述べ、希望者全員の帰還より防疫を優先する方針を示した。

 中央通信社によると、中華航空機の離陸直前、機内の2人の体温が基準を超えたため離陸を取りやめ、体調不良の女性とその家族の計3人を降ろすなどしており、第2陣の人数は事前に報じられた400人超を下回った。



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